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▼8月4日(月)
?「……夢…………?」
窓から流れ込む朝陽。
アラームなどではなく、自然に身を任せ迎える朝。
体を起こした時には、もう何の夢を見ていたかなんて、忘れていた。
?「ふぁ…………」
時計の針は9時を指している。
それを確認すると、トイレに行って歯を磨き、制服に着替える。
?「あ、メール……」
年季の入った携帯。その背面ランプが点灯している。
送り主は友達の心ちゃんだった。
内容は、漫画を持って来いとのこと。
学園の図書室から借りていたものだ。その返却が今日だったのをすっかり忘れていた。
?「……窓閉めた。鍵しめた。戸締まりおっけー」
?「あら、詩ちゃん。制服着て。夏休みなのにまた登校かい」
?「おはよう大家さん。そうだよ」
玄関を出たところで、アパートの前を箒で掃いていた大家さんと顔を合わせる。
掃除はこの時間帯、彼女の日課だ。だから私もこうやって、朝の挨拶を交わすことは珍しくはない。
ちなみに名前は葉月さんで、御年78歳。年齢の割に記憶力が凄まじく、町中の人間の顔と名前を覚えているらしい、凄い人だ。
葉「部活かい?」
詩「違うよ。遊びに行くの」
葉「遊びに。心ちゃんとかい。あんたらほんと、仲良いねぇ」
詩「ふふ。大家さんも、今日もアパート前の掃除、お願いしますだよ」
葉「あいよ~」
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