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詩「……で。どーしてこんなもの持たされてるの。私達」
あの後。私達は阿美さんに学園の校舎裏へと連れて行かれ、掃除用具入れにあった竹箒を2本渡されていた。
心「……これで空を飛べってことじゃないかしら」
詩「うぅ……、無理に決まってるよ。阿美ちんって、案外ロマンチストなんだね?」
心「昔から映画の影響を受けやすい子ではあったでしょ。こういうファンタジーなお話とか」
詩「あー。まぁ、そうだったね」
阿「あんたらさっきからうるさいわよ。誰が魔女ごっこしろなんていったの。ほら、詩も箒を跨がない」
詩「……うぅ。飛べませんでした」
心「で、阿美さん。私達に何をさせるつもりなの?」
阿「掃除に行くのよ。展望台の」
詩「展望台? この山の頂上の……?」
心「生徒会って、普段そんな活動してるわけ?」
阿「ええ。学園周辺の清掃依頼はしょっちゅうくるわ。ぶっちゃけ叶井学園の学生会って、周辺地域ではボランティア集団みたいに認識になってるみたいだけど」
掃除。学外の。
晴天で、真夏。
エアコンなし。扇風機なし。漫画なし。ゲームなし。
詩「やっぱり阿美ちん、私達を殺す気なんだね。私達、阿美ちんに何かそんなに嫌われるようなことしたかな……?」
阿「それはさっきも散々言ったでしょう……。どうせ暇してたんでしょ。だったらちょっとは掃除を手伝いなさい」
詩「やっぱりやらされるんだね。ボランティア活動」
阿「私も行くけど、さぼるんじゃないわよ。でないと、図書室出入り禁止にするから」
詩「く……」
心「……面倒だけど。しかたないわね。図書室がなくなれば、私の大事な詩の居場所がなくなるし」
詩「うん。辛いけど、頑張って掃除するしかないね……」
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