御注文はあなた

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「お祭りって……ああ、屋上の?」 「それもあります! でも、これからのとか」  それは近い未来。 「まだ箱も決まってないんですよ」  希望の場所はあっても、なかなか「これだ!」という物件には巡り会えていない。まだまだ何もかもこれからなのだ。 「じゃあ……しばらくは無職なんですね」 「無職……まぁ、そうなりますね」  さすがにこのままはまずいと離れる。職場だという事を今更だが思い出した。  だが店長の心、アルバイト知らずだ。莉乃君は本当に嬉しそうに、数多の男性客を虜にした莉乃スマイルを浮かべた。 「決まるまでの間、沢山デート出来ますね」  私はパティシエになると決意した時のように、覚悟を決めた。 「今度の日曜日」 「はい」 「係長は……お父さんはご在宅かな?」 「はいっ!」 『うわっ! ロリコン!』  口の減らない従兄弟の顔が過った。
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