第2章

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この時少年は「現実」という言葉を初めて理解する。 現実はそんなに甘くない…よく言葉では聞くが中学生の少年にはいまいち理解出来なかった。 努力さえすれば何でも出来る…少年は現実というものをそう思い、現実はそんなに甘くないとか言ってるヤツは努力しないで現実から逃げてるだけじゃないかと少年は思っていた。 でも違うんだ。 少年は今、初めて「現実はそう甘くない」という言葉を理解する。 努力をしていようと関係ない。 時に現実は努力にかけた全てを否定し、奪い去っていく。 それが…「現実」なんだ。 父親が、ただな、と言い続ける。 「不幸中の幸いかデカイ事故にも関わらず命に別状はないそうだ」 その言葉に少年は安堵する。 少年の前から由花がいなくなるという最悪のケース…それだけはないのだ。 「明日は確か学校休みだろ?お見舞いに行ってあげなさい」 「行くに決まってる」 少年は力強く頷いた。 青年は考える あの日あの事件がなかったら 今ここにいない少女はどうしていたのだろう?
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