第3章

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5階フロア、506室前のあるネームプレートを念のため確認する。 桃城由花…ここの病室で間違いないようだ。 コンコン 少年はドアをノックする。 「どうぞ」 聞き覚えのある声が少年の耳に届く。いつもより元気がない…まああんな事があったばかりだから仕方がないか。 ガラガラ ドアを横に引いてから病室に入る。 病室の中は白。 壁や床は全て清潔感のある白色で統一され、ベッドのシーツも交換されたばかりなのか汚れ全くない白だった。 白という色は「純潔」「清廉」などの不浄のイメージが強く、病院が潔癖というイメージは案外色のせいなのかもしれない。 「よぉ」 片手を上げて一言挨拶し、少年は続ける。 「大丈夫…ではないよな」 「まぁ…ね」 パッと見の外見ではケガはあまりないように見える。所々にガーゼや包帯などが巻かれているがギブスなどはしていない。少なくとも手足は骨折してないようだ。右手から点滴をしている以外は特別目立っているとこはない。 「まさかあんたが来てくれるとは思わなかった」 と由花は皮肉を言いつつもその顔は笑っている。 「そりゃあ来るに決まってるだろ…イス借りるぞ」 「あ、うん」 壁に立てかけてあった組み立て式のパイプイスを拝借する。
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