第1章

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少年が抗議の目を向けたのは 一人の少女だった。 少女の名は桃城由花 少年の家の隣家に住んでいる 幼稚園児からの幼馴染みだった。 少女ー由花は陸上部に所属しており、いつも朝早く学校に行ってるみたいだった。 「今から朝練か?」 「そだよー」 運動部らしい焦げ茶の肌、 陸上に的していそうなスレンダーな体付き、整っている顔立ち。 由花自身は知らないだろうが 男子ではわりと人気のある美少女だった。 二人は肩を並べ 同じペースで歩く。 時折生温い風が吹き、田んぼに出来た緑色の絨毯をなびかせる。 「よく朝からあんな動けるよな、特に今クソ暑いのに」 「それは…好き…だからさ」 どことなく由花の顔が赤い気がする、暑さにやられたのだろうか? おい由花、と少年は少女を呼ぶ。 なに?、という風に首を傾げる。 「お前顔赤いぞ、暑さにやられたんじゃないか?」 今は夏だ、陸上部である由花が暑さにやられても不思議じゃない。 「な、な…」 さらに顔を赤くする由花、こいつ大丈夫か? 「そ、そんなことより!!」 まるで顔が赤い理由をごまかすように話をそらす由花。 「なんであんた今日早いのよ??」 「知らん、今日は早く目が覚めた」 「あんたがこんなに早いなんて今日は良くないことが起こりそうね」 「あり得るな…よくないことが起きるとしたらお前にだが」 「それはないわ」と由花はニッと笑みを浮かべ続ける。 「今日は朝一からいいこと起きたしね」 「それは残念」 少年は軽い皮肉を口で言いながらも心の中で「良かったな」と呟いた。
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