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湿気を帯びた生温い風が少年たちの軽く汗ばんだ肌をぬぐっていく。
「しかし本当に暑いな」
日本特有の夏は本当に嫌になる。風が汗を持っていかず、逆に汗をかきやすい環境をわざわざ整えてくれるのだから。
「まぁ夏だし仕方ないよね」
「そうだよな…まぁ陸上部の練習頑張れ。熱中症には気を付けてな」
「うん、わかってる」
「なら結構」
少年たちはすでに校門の前におり、少年は思う。
誰かと話しながら、特にその話相手が由花ならあっというまに学校に着くな、と。
「それじゃあ朝練行ってくるわ」
由花はそう言って小走りでグラウンドに向かう。少年は、ポニーテールを揺らしながら小さくなっていく黒髪の少女の後ろ姿をじっと見つめていた。
青年は思い出す
たった一人の少女との思い出を
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