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少年は帰宅してから自室で漫画を読んでいた。
つまらない…内心そう思いながらページをめくっていく。
自室の外から電話の電子的な呼び出し音が響いいるが無視、応対は親に任せる。
少し時間が経つとドタバタと忙しない足音が少年の耳に響く。
突如、バタン
ノックもなしに父親が自室に入ってくる。
「い、いきなりなんだよ?」
親が口にするのは予想だにしない出来事。
「ユイチャンガコウツウジコニアッタ」
親が何を言ったのわからず少年は頭が真っ白になる。
数秒後
ゆいちゃんが交通事故にあった、親がそう言ったのを理解する。
「今…由花が事故ったって…そう言ったんだよね?」
あぁそうだ、とそのことが紛れもない事実だと肯定するように深々と頷く。
「嘘…だよね?」
無言の肯定。
「だってあいつだよ?」
無言、父親は黙って少年の目を見据える。
「だってあいつだよ?なんであいつなの?」
無言。
「ただ走るのが大好きで、いつも真面目に朝練出てて、部活ない日も自主レンしてるあいつが…なんで事故なんてあうの?」
無言。
「俺よりよっぽど人生頑張ってるのに…いつもあんなに元気なヤツがなんでそんな目にあうの?なんで…なんでなんだよ!」
父親は苦虫を潰したような顔をし、視線を反らしから口を開く。
「そんなことは関係ない」
ただ一言、たった一言の残酷な言葉を口にする。
「これが現実だ」
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