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「おら、お前も座ってねーでいくぞ」
「う、うす」
「御槃(みたらい)」
池野内班長に言われるがまま席を立とうとすると、何故か後ろから署長に呼びとめられる。
「お前はちょっと来い」
「?何ですか」
そう言えば朝の会議でも署長の姿は見えなかった。だから別にどうということはないし、上役の仕事はそれ以外にもたくさんあること位は言われなくても理解している。
だけど、今日に限って言えばどうもそのことが頭にひっかかってしまって、なかなか納得することが出来ないでいた。
だからか口調が自然と伺うようなものになって、心の中で気まずい舌打ちが零れる。
(だったら何だってんだよ)
だから何だ、そう言い聞かせれば済むはずなのに、段々と人気のない非常階段まで無言を貫かれれば、眉間に皺まで寄ってきてしまう。
「お前は相変わらずだな」
「!」
行き止まりかと思っていた場所に署長以外の声が聞こえるが、身構えるよりも先に懐かしさの方が込み上げてつい声が大きくなる。
「叔父さん!」
「次官、よろしいですか」
「ああ。ありがとう」
(何で叔父さんがここに?)
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