グラスホッパー

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 一瞬、見失ったチンピラたち。遅れて追いかけ、銃を向ける。  しかし、姿が見えない。  ガッ!ガッ!トン  小僧は粗大ゴミを踏み台にし、壁を蹴って屋根まで跳んでいた。 「ヤロウ!」  ドン!ドン!チュン!  死角に入ってから撃っても後の祭り。 「くそ!追え!」  チンピラの何人かはペンキ塗りのハシゴを奪って屋根へ。ゼブと残りは車へ戻り走り出す。  小僧はシスターを背負い、ぴょんぴょんと屋根を駆け抜けて行った。 「ど、どうなってますの?」 「グラスファイバー製の競技用義足だよ」  それだけじゃねぇ。背負われたシスターにも、鍛えられた体が分かったはずだ。  しなやかでバランスのいい動き。家の隙間も高低差も気にせず走り抜ける。  ようやく屋根に上がったチンピラには、もう見えなかっただろうよ。  しばらく跳ねた後、シャレオツなバーの裏の木箱から降りる。 「やぁ、マスター」  そう、ここで俺の登場だ。  治安最悪の末端都市に咲く、憩いのバー・バグズ。 「よう!ビヨヨン!今日の配達は極上だな!」 「ビヨヨンじゃねぇ!ビヨンドだ!今日こそ飲ませてもらうからな!」 「ガキはお呼びじゃねぇぜ!その美人のオゴリなら考えてやる!」
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