グラスホッパー

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 そこで背にくっ付いたままの美人がつぶやいた。 「運び屋ビヨンド?そう、運命ですのね……」  ギャギャギャ!  ツルッツルのタイヤの音が聞こえた。そん時の俺はまだ何が起きてるのかなんて知らねぇ。 「げ!もう来た!」 「私をインセント教会へ運んでください」  まさか、小僧はただの宅配便さ。しかも行き先はそう、あの場所だ。 「……え?」 「お願い」 「……わかった」  美人のお願いを聞かないわけにはいかない年頃だわな。  だが、そんなことは勝手にやってくれ。  ドン!チュン! 「うお!とばっちりはゴメンだぜ!」  商品に穴が開きやがった。その木箱を足蹴にして、また屋根を跳んで行ったよ。 「バッタのヒーロー。バドンが言った事でしょう?」 「姉ちゃん、カシラを知ってるの?」  そう、こいつぁ女盗賊バドン・ローカストの話だ。政変の話を聞き飽きたあんたらにも、興味のある話だろう? 「処刑から五年。あなたはまだ幼く、私も若すぎた」 「そうそう。乗せてる小さいのは子供じゃないんだよね」 「はい?」 「早くお前も私に乗れるくらい、いい男になれって言われたなぁ」 「さ、最低ですわ!」  イチャイチャとランデブーさ。ビヨンドはそういうヤツだ。
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