7人が本棚に入れています
本棚に追加
シスターは小僧をどかすように窓に首を突っ込んだ。
出窓の棚みてぇな窓の桟は、レンガ四つ分の厚みがあったそうだ。その中央のレンガは固定されていなかった。
退けてみれば穴の中に小さな箱。
「彼女の最後の言葉。あなたに渡してと頼まれたものです」
「カシラが?」
小僧はすぐに箱を空けた。シスターは不思議そうに穴を覗いていたそうだ。
「カクテルグラス!」
高級な木箱に緩衝材とビロードに包まれた、そいつぁ立派なヤツさ。
「特別な意味が?」
「バー・バグズで飲む一人前の証。あの人は、洒落てるんだぜ」
ま、そういうこった。ウチは御用達だったんだよ。
ん?そう、そうさ。
これでメデタシってわけにはいかねぇ。
ダァン!
まずは脅しの銃声さ。
「金貨でもあったか?小僧!盗賊団の生き残りだそうだな!」
顎鬚スーツのゼブとチンピラが、屋根の上に登場だ。
「お耳が早い。よく草原を渡れたね」」
「フライアス建設の安全靴をなめるな」
「危険なヤツらに安全靴って」
小僧は窓から出ようと身を乗り出す。
だが、シスターは手を顔に添えて、目を見つめた。
「あなたはそこから動かないでください」
「え?」
最初のコメントを投稿しよう!