グラスホッパー

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 シスターは小僧をどかすように窓に首を突っ込んだ。  出窓の棚みてぇな窓の桟は、レンガ四つ分の厚みがあったそうだ。その中央のレンガは固定されていなかった。  退けてみれば穴の中に小さな箱。 「彼女の最後の言葉。あなたに渡してと頼まれたものです」 「カシラが?」  小僧はすぐに箱を空けた。シスターは不思議そうに穴を覗いていたそうだ。 「カクテルグラス!」  高級な木箱に緩衝材とビロードに包まれた、そいつぁ立派なヤツさ。 「特別な意味が?」 「バー・バグズで飲む一人前の証。あの人は、洒落てるんだぜ」  ま、そういうこった。ウチは御用達だったんだよ。  ん?そう、そうさ。  これでメデタシってわけにはいかねぇ。  ダァン!  まずは脅しの銃声さ。 「金貨でもあったか?小僧!盗賊団の生き残りだそうだな!」  顎鬚スーツのゼブとチンピラが、屋根の上に登場だ。 「お耳が早い。よく草原を渡れたね」」 「フライアス建設の安全靴をなめるな」 「危険なヤツらに安全靴って」  小僧は窓から出ようと身を乗り出す。  だが、シスターは手を顔に添えて、目を見つめた。 「あなたはそこから動かないでください」 「え?」
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