グラスホッパー

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 背を向け、胸に手を当てて語る。 「この教会は悪を挫く義賊のアジト。テロ被害者は影の協力者たち。関係を隠したことを逆手に罪を被せた。政界の暗闇との癒着には邪魔でしかなかったのですね?元社長室長」  ゼブはニヤリと笑い、煙草に火をつけた。 「国が変わってどこかの物好きが引っ掻き回したおかげで、全部バレちまった。上役もとっ捕まった以上、虫けら盗賊団の遺産でも奪ってトンズラするしかねぇやな」 「……っ」  小僧は頭はよくねぇよ。だが、それでも分かるさ。  陰謀と、目の前の実行犯のことくらいはな。  それでも跳び出さねぇのは、女が背を向けたまま手を広げて遮ったからだ。 「お前も同じだろうが!うまいこと新政権に取り入りやがって!……なぁ?シュライク元裁判官!」  そう、忘れるはずも無い名だ。  前政権が時代錯誤の刑を下させた、最年少の天才判事。 「っ!私は!」 「小僧!こいつはお前のカシラと仲間たちを磔にした女だ!」  ビヨンドがこの時、何を思ったのかは知らねぇ。  振り向いた女の顔に、動揺はしたろうな。
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