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「これからの話が本当の事だったら俺の勝ち、君の負け。嘘だったら、君の勝ち、俺の負け。どう?乗ってみるかい?」
嘘の可能性もある、というわけか。
「よし、乗ってやろうじゃないの」
話の途中にも関わらず、私はその賭けに乗った。
しかも、何を賭けるのかも不明なまま。
ソイツの話は実に馬鹿げたものだった。
『白いゴキブリが存在するか否か』
ゴキブリは、黒に決まってる。今まで生きていた中で見てきたものは全部黒だったのだから。
「居るわけないじゃない」
「じゃぁ、君は白いのが居るって話が嘘だ、でいいかい?」
私は、当然だ、と深く頷きながら答えた。
「じゃぁ、俺は居るに賭けるよ」
いいかい、と私を見る。
いいもなにも、ゴキブリは黒、と決まってる。
あ、そういえば、と思い出したかのようにソイツが賭けの内容を言った。
「じゃぁ、もし君が勝ったら1つ、何でも願いを聞くよ」
「じゃぁ、私が万が一にでも、負けたら?」
うーん、そうだなぁ、とアイスコーヒーをかき混ぜるソイツ。
「よし、決めた。
俺に残りの人生を賭けてよ」
「え?」
つまり、それって。
うまく頭が回らない。
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