「賭けの代償」

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「それって」 プロポーズってやつですか? 真っ赤な顔をして、照れ臭そうに頬を掻いている姿が、言葉の深意を表していた。 「でも、まだ、あなたが勝ったわけじゃないから」 素直に喜べない変わりに、私はニヤリと笑いかえしてやった。 すると視線を反らしていたソイツが私の腕を急に掴んだ。 ちょっと、と慌てる私にソイツが呟いた。 「じゃぁ、これから2人で、一生を賭けて白いゴキブリを探行こうか?」 「って、今から?」 「善は急げってね?」 今の私には腕をほどくほどの理性なんて残ってなくて。 結局、色の違いなんて意味のない賭けだったと気づかされる。 腕を掴まれたまま、レジに向かうソイツに連れられて立ち上がった。 「また、プリン、食べに来ようよ」 小さく囁くソイツに小さく頷いた。 ソイツの用事が何だったのか、後になって知る事になるのだが、今の私にはそこまで考えられない。 馴染めないままだった喫茶店が当たり前に思える位、これからの人生を目の前の人と歩む事になるんだろうな、と真っ赤な耳をしているソイツの後ろ姿を見ながらボンヤリと考えることで精一杯だった。 …end。
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