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大富豪と世界遺産を巡る
「ここが、聖ポール天主堂跡です」
「ほぉぉ…見事なモノだね」
晴天のある日、私――――――――――緑山沙智は、車椅子で移動する老人と共にマカオにある世界遺産・マカオ歴史地区にいた。
「沙智さん。ここが如何なる地であるかを、旦那様にお伝えなさい」
「あ…はい!」
すると、私らの側にいた第一秘書・クリス・アヴァーインさんに説明を要請される。
えっと…
その直後、私は首の後ろに巻きつくように装着された量子型端末機・”ヴィンクラ”をソッと触れる。その後、自分の視界に現れたデスクトップ画面から”古代史辞典”というソフトウェアを起動。タッチパネルのように指で操作しながら、この聖ポール天主堂跡についての記述を探した。
「…はい。イエスの使徒である聖パウロに捧げられた、マカオにあるポルトガルの17世紀の大聖堂の遺跡であり、マカオの最も有名な歴史的建築物の一つです。2005年に、ユネスコの世界遺産「マカオ歴史地区」の一部として登録されました」
私は、多少棒読みになりつつも、彼らに説明をする。
「流石だね、沙智君。当然、この地が君ら日本人にも関わりがあるという事は知っているね?」
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