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デパートで、綾は水着全部試着するつもりらしい。
その度に咲子を呼んで身体を見せる。
水着ではなく、身体を見せるのだ。
私にはないくびれ、私には出ない鎖骨のくぼみ。
パキパキパキ。。音が聞こえてくる。身体の奥から。
鏡に映った咲子と綾は本当に同じ人間なのかと思うくらい、違っていた。
さほどかわらない水着を何着も着て、結局一番最初に試着したオレンジのドットの水着に決めたらしい。
『咲子も早く決めなよー』
私は、店内をそそくさと一回りした。どうせ私が着れる水着はない。
今この店にいる全員が知っているだろう。
一番奥にあった真っ赤な水着を手に取った。
『マジ!?咲子だいた~ん。』
うれしそうに笑った。
私は水着を持ってレジに向かった。『え!もう決めちゃうの?試着しなよ』
何回も試着を進める。
彼女の顔を正面から見つめ返した。
『いいの、私は着ないから』
私も、笑いかけてみた。
未来のアンタに。
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