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「何か俺に聞きたいことがあるんじゃないの?」
坂崎に心の中を見透かされていたようで、ドキっとした。
「……別に」
ふうん、と呟くと坂崎は眼鏡を外してテーブルに置いた。
二人で過ごす週末。
坂崎の部屋。
私しか知らない、眼鏡を外した坂崎の瞳が熱を帯びる瞬間。
途端に、それは間違いだと気づく。
私だけが知っている訳じゃない。
坂崎には私が知らない過去がある。
彼は私を8年待ったと言った。
でも、部長が言っていたことが本当だとしたら、彼は気持ちのない相手を抱いてきたってことになる。
ようやく私が感じていた不安が形を現した。
――貴方は、好きでもない人とも寝ることができるような男なの?
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