1072人が本棚に入れています
本棚に追加
｢なあ、ふたばは部長が言ってたこと、どうして何も聞かないの？｣
坂崎の問いに私は言葉を無くす。
……聞けないから、こんなに苦しんでるんじゃない。
｢幻滅されるの覚悟で言うけど、部長の言ってたことは本当だよ。
俺は、８年間もただ黙ってふたばのことだけ見てたわけじゃない｣
私はぎゅっと目を閉じた。
どうして今さらこんなこと告白するの？
｢でもさ、考えてみて。
８年間もふたばにずっと片想いしてた粘着質な俺が、自棄を起こしたくなるようなこと、ふたばには心当たりない？｣
｢えっ……｣
自惚れてることを承知で言わせてもらえば、それは……。
｢秦野さんとのこと？｣
｢そうだよ｣
坂崎がじりじりと私に詰め寄ってくる。
その瞳に宿るのは、……ひょっとして怒り？
最初のコメントを投稿しよう！