1072人が本棚に入れています
本棚に追加
あの時、何かをうやむやにされた気がしたのは気のせいだろうか。
私は、数日前の祐の様子を思い出しては、引っ掛かりを感じていた。
「何やってんですか紺野さん、行きますよ!」
「は、はい。すみません」
これから、初めて斉藤さんと二人で桜屋デパートを訪問する。
祐が大方進めていてくれたお陰で、桜屋との契約はあと少しのところまで来ていた。
……この日、斉藤さんがこんなことを言い出すまでは。
「ですから部長、こちらの商品の方が絶対に売れると思うんです!」
斉藤さんは、渋い顔をした桜屋デパートの島田部長(安藤さんの後任だ)に尚も詰め寄っていた。
最初のコメントを投稿しよう!