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「私は開発にいて、常に新しい物を作らなくてはいけない。
日々プレッシャーですよ。
でも、同じ物をずっと作り続けていくことだって簡単なことじゃない。
彼らだって努力してますよ。
少しでもお客さんにいい商品を提供できるよう、毎日頑張ってるんだ」
そこまで言って一息つくと、斉藤さんはようやく私の方へ顔を向けた。
車はとっくに会社に着いていた。
でも、斉藤さんが車を降りる気配はない。
「おかしいと思いませんか?
今の社長は社の原点である香の露よりも、目新しい商品ばかり売ろうとしている」
「それは……」
その先の言葉が出なかった。
事実、私たち営業は、毎回新商品から重点的に売っていくように上から指示されていた。
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