キミは未来を見据えているか

17/20
前へ
/40ページ
次へ
「私はね、紺野さん。 香の露と現場の彼らを守りたいんです。 ずっと私にできることはないか考えていました。 そこに桜屋デパートとの話が来た。 これだ、って思ったんです」 「でも、それならそうと私にも言ってくだされば……」 「じゃあ、私が事前に話したとして、あなた賛成してくれました?」 「えっ……!?」 斉藤さんが眼鏡越しに私に鋭い視線を送る。 何もかも見透かされている気がした。 「先方も坂崎課長の案を気に入ってたんだ。 それをわざわざひっくり返すようなこと、あなたはしないでしょう?」 「はい……。 取引先が満足するものをご用意するのが私たちメーカーの使命だと思っていますので」 そんな私を見て、斉藤さんは軽く口角を上げた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1072人が本棚に入れています
本棚に追加