792人が本棚に入れています
本棚に追加
「いつもこんな高いところから見下ろしてたから、ちゃんと見えてなかったのよね、祐の気持ちも。
何もかも自分の都合のいいように解釈して、最後はちゃんと自分の思い通りになるんだって勘違いしてた。自分にはそれだけの力がある、って。
でも全部私の力なんかじゃなく、結局は父からの恩恵に過ぎないのよね。
……今の役職もね」
綺麗で、仕事もできて、皆が望むもの全てを手にしているように見える安藤さんも、他人からは見えないところで苦しんで来たのかもしれない。
いつだって自信に満ち溢れて見えていた彼女の『揺らぎ』のようなものを、初めて目の当たりにした気がした。
最初のコメントを投稿しよう!