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「……そうですね。
一度ゆっくり話してみます」
ようやく斉藤さんから微かな笑みが零れた。
いつか、通じ合えたらいい。
すれ違ってきた年月の分、時間はかかるかもしれないけれど。
斉藤さんにも過去を克服して欲しい。
私は心からそう思った。
「……でも、紺野さんにも通じることですよね?
この先、坂崎課長と結婚なんてことになったらどうするんですか?」
全く邪気のない顔で萌乃ちゃんがそう尋ねる。
「そうっすよ!
まさかあっさり辞めます、なんて言わないっすよね!?」
「ひやぁっ!?」
ダンッッ!! と大きな音を立てて、ヤノケンがこちらへ身を乗り出してきた。
私はその勢いに気圧され、持っていたビールをテーブルに溢してしまった。
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