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髪を緩くまとめ、控えめなシルバーのパンツスーツに身を包んだ安藤さんは息を飲むほどに綺麗だった。
そう背は高くはないが、スラリとしたスタイルで品もある彼女が店舗に立てばそのブランドのモデルとしての役割も担ってくれるに違いない。
ポーン、とエレベーター内に到着を知らせる音が響いた。
「紺野さん今休憩中?
少しお話しできませんか?」
【開】のボタンを押したまま、安藤さんは後方に立っている私の方へ振り向いた。
「え?」
正直言って、彼女に関わらなくて済むのならその方がいい。
でも、背の高い私を仰ぎ見る安藤さんの表情にも声音にも、なんの棘も思惑も含まれてないような気がして、
「30分くらいなら、大丈夫です」
私はそう答えていた。
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