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「……これが、紺野ふたばにする最後のキス」
「……え?」
意味がわからず混乱した私は、思わず祐のタキシードの襟をきつく握り締めた。
そんな私の表情を見て、祐はプッと吹き出す。
「違うよ、ふたば。そんな顔するなよ」
いつの間にか私は、眉間にしわを寄せていたんだろう。
祐が私の額にふわりとキスを落とす。
「次のキスはみんなに将来を誓ったあと、坂崎ふたばにするキスだから……」
「祐……」
祐の言葉に胸が熱くなる。
私はこの人と共にこれからの人生を歩んで行くんだ。
ようやく、それを実感できた気がした。
「……幸せになろうね?」
「もちろん」
気がつけば、窓の外には綺麗な青空が広がっていた。
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