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雨上がりの涼やかな風が頬を掠め、辺りには深緑の爽やかな香りが広がった。
やがて、歩みを止めた父は、祐に私を引き渡すと、
「娘を、よろしくお願いします」
そう言って深々と頭を下げた。
その姿に、早くも私は涙が溢れてしまいそうだった。
「では、これより坂崎祐さん、紺野ふたばさんの人前結婚式をはじめます」
祐に手を取られ、参列者席の方へと振り向くと、盛大な拍手が起きた。
家族、友人、そして私たちを支えてくれた会社のみんな……。
当日まではっきりしない天気に翻弄されたにも関わらず、たくさんの笑顔が私たちを迎えてくれている。
まだ式ははじまったばかりだというのに、私はもう感極まってしまった。
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