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確かに、新婦控え室の窓から見える景色は、梅雨の中休みと伝えた昨日の天気予報とは違う薄灰色の雲り空。
そして、絹糸のような霧雨が庭の木々をしっとりと濡らしていた。
「それにしても男の方が『ジューンブライド』を気にするなんて!!
そんな話、聞いたことないわ」
「はは……。私もね、ちょっと驚いた」
ガーデンウエディングを希望するなら、梅雨の時季の六月は避けた方がいいという長谷川さんの再三の忠告も聞かず、『俺は晴れ男なんだから』というよくわからない理由を言って、祐は六月に式挙げることを譲らなかった。
「でも、幸せねふたば。
坂崎ったら『六月の花嫁は幸せになれる』って言い伝えを信じてるのね。
結構かわいいとこあんじゃない。
……何もかもあんたのためなんだわ」
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