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「ところでふたば、ご家族はどちらにいらっしゃるの?」
この部屋に来てから、何故か一言も話さない祐に気を取られていた私は、香に話しかけられ、ようやく我に返った。
「……え? っと、親族控え室で親戚の相手してると思う」
「そう、じゃあ私たちご挨拶してくるわ!」
そう言うと、香はいつの間にかベビーベッドで眠ってしまった葉月ちゃんを抱き上げ、「さあ、行くわよっ!!」とヤノケンと萌乃ちゃんのことまでせかせかと新婦控え室から追い出してしまった。
「では、私も業務に戻りますので」
長谷川さんが、今度は音も立てずに出て行くと、さっきまでとは打って変わり、しんと静まり返った新婦控え室に、私と祐二人だけが取り残された。
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