度を超えた良い人

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 外はどしゃ降りの雨だった。  10日連続の雨だ。  僕は感極まって、  まるで空に抱擁を求めるかのように、  大きく両腕を広げ、天を仰ぎ――奉謝した。  「ありがとう! 雨!!」  連日の雨だからこそ、晴れの日が尊いものだと気付けたのだ。  農家の方は大変だろうけど、農作物が儚くも脆い生命だ、と再認識できた。  特に葉物野菜が大打撃だということを知ることができた。  今度からは嫌いな茄子も残さず食べようと思えた。  目尻に浮かぶ涙の粒を拭うと、大きく一歩を踏み出す。  いつものように大容量のキャリーケースを引き、籠を背負い、火バサミを持ち、傘を片手に翳し、歩く。  僕の学校の生徒たちは殆どが車で通っているが、僕は徒歩だ。 ――だって通学路に落ちているゴミが気になるんだもん。  僕は道すがら落ちているゴミを、火バサミで摘み背中の籠へ入れ、拾っていく。  とりわけ今日は壊れた傘が目立つ。  それも仕方のないことだろう。  この強風の中ではビニール傘にいたってはすぐに壊れてしまう。  僕の傘は強風に強いタイプだからまだ大丈夫だ。
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