80人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
外はどしゃ降りの雨だった。
10日連続の雨だ。
僕は感極まって、
まるで空に抱擁を求めるかのように、
大きく両腕を広げ、天を仰ぎ――奉謝した。
「ありがとう! 雨!!」
連日の雨だからこそ、晴れの日が尊いものだと気付けたのだ。
農家の方は大変だろうけど、農作物が儚くも脆い生命だ、と再認識できた。
特に葉物野菜が大打撃だということを知ることができた。
今度からは嫌いな茄子も残さず食べようと思えた。
目尻に浮かぶ涙の粒を拭うと、大きく一歩を踏み出す。
いつものように大容量のキャリーケースを引き、籠を背負い、火バサミを持ち、傘を片手に翳し、歩く。
僕の学校の生徒たちは殆どが車で通っているが、僕は徒歩だ。
――だって通学路に落ちているゴミが気になるんだもん。
僕は道すがら落ちているゴミを、火バサミで摘み背中の籠へ入れ、拾っていく。
とりわけ今日は壊れた傘が目立つ。
それも仕方のないことだろう。
この強風の中ではビニール傘にいたってはすぐに壊れてしまう。
僕の傘は強風に強いタイプだからまだ大丈夫だ。
最初のコメントを投稿しよう!