度を超えた良い人

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 この傘を開発した方に、直接お礼が言いたい。  そして同時に、心が痛む。 ――傘が壊れた人たちは今、ずぶ濡れじゃないのか? と。  傘の無い人たちに差し上げる予備の折り畳み傘は、5本しか用意していない。  僕の傘を入れて6人にしかあげられない。  「途中のコンビニで傘を買っていこう」  今まで3人以上、傘が無い人に出会ったことは無いが、  これでもし、7人目の傘が無い人に出会っても大丈夫だ。  そのときだった――  「おお、誠一郎坊ちゃんじゃねーか!」  名前を呼ばれてふと振り返ると、学ラン姿の二人組みに出会う。ここからすぐ近くにある公立高校の制服だ。  「おはよう。桐生君、菅原君」  僕が彼らの名前を呼び、挨拶すると、二人はとても驚いた顔をする。当然といえば、当然だ。  「げっ、なんでお前、俺らの名前知ってんだよ!」  「もちろん、探偵さんに調べてもらったんだよ」  だって彼らは何度こうして顔を合わせても名乗らないし、  「こうして何度も会う人の名前を覚えてないのは失礼かな、と思って」  「相変わらずのイカれ具合だぜ……」
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