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「貴様の言うとおり、ほれ、奴ら二人を恨んでいた連中の魂を拾ってきたぞ」  マイクラ・シテアは、紅く渦巻き輝く宝玉 を大切そうに懐から取り出し、部屋の祭壇に立て掛けてある杖に差し出した。 杖にも同じ様な宝玉が一つ輝いている。 「どんな方ですか」 「忌々しい魔封じめには、貴様も知っておろう、バルザムとかいうじじいじゃ」  これには多少、杖は驚いた様子だった。 「ほう、それは、なるべく私は、関わり合いになりたくないですね。  私も恨まれているでしょう」 「そのようじゃな。  が、まぁそんなことは黙っていればわからぬ」  マイクラ・シテアは咽の深いところで妙な声を出して笑った。 「もう一人は?」 「クズじゃ。  ただ、これほどオデュセウスを恨んでいる人間もそうはいまい」  またマイクラ・シテアは喉の奥を震わせて笑う。 「ともかく、この二つの宝玉を埋め込む物を考えねばの」  それを聞くと、杖はしばらく考えていたが、やがて言った。 「マイクラ・シテア様、あなたは、こんな戯れ言とは違う、別な何かをすでにお考えなのでしょう?」  それを聞くと、マイクラ・シテアは少し驚いた様子だった。  しばらく言葉を失っていたが、やがて彼は、マグマが煮え立つように、低い声で笑い始めた。 「さすがは伊達に当代随一の将軍と言われただけのことはある」 「それは、何なのです?」 「空飛ぶ船よ」  マイクラ・シテアは、そういった後も、さも楽しげに、一人笑い続けていた。
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