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「わしはやがてこの世を支配し、破壊する者じゃ。  貴様のごとき虫けらはわしにひれ伏して当然。  どう思うかね、ご令嬢」  すると、突然なにかボールの様な物がファリアヌスの側に転がった。 何かと思って見ると、それは女の首、しかも先ほど自分が殺したバンスファルト伯爵令嬢のそれだった。  令嬢の首は、ファリアヌスを凄まじい怒りに満ちた形相で睨み付けた。 「このゲス、卑怯者、臆病者、お前が死ねば良かったのに!  その上、この世界の王たるマイクラ・シテア様に、何という無礼極まりない態度なの!」  伯爵令嬢の首は、ファリアヌスに緑色の唾を吐きつけた。 それはファリアヌスの頬に当たる。 するとそこが焼けて、煙が出た。 「あつい、あつい!」  ファリアヌスは頬を擦って何とかしようとした。 すると皮膚がずるりと剥がれた。 「いやだぁあぁ」 「無様でいい気味よ、いい気味いい気味いぃぃ」  首はゲラゲラ笑って、そして灯りが消えるように忽然と消えた。 「で、どうしてほしいのかね、ファリアヌス子爵閣下」  地鳴りのような声が再び頭蓋を揺さぶる。 「わわわわかった、わたわた私を、私に、オデュセウスを殺す力を、お与えくださいませぇ!」  ファリアヌスは懇願した。  闇の空間全体が、禍々しくにたりと微笑んだ。 「よかろう」  再びファリアヌスの目の前で、紅い宝玉がぎらりと燃え上がる。 その渦巻く光はじわりと広がり、やがてファリアヌスの視界を全て覆った。 と同時に彼の胸に焼き鏝のような痛みが走る。 「熱い痛い痛いやめてやめてああぁあぁ」  彼は狂わんばかりに叫ぶ。 しかし焼き鏝はあばらを突き破り、やがて心臓に達した。  ファリアヌスはここで意識を失い、痛みから逃れた。
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