第1章

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敵機巧は基本空から襲撃してきます。特に自分達に害を成そうとする物を優先に。それはつまり敵は上空から監視しているという事です。 通常戦力で機巧を倒すことは出来ませんので迂闊に地上に出て見つかってしまえば即終了です。ですから地下道を整備し、こうしてコソコソ移動しているわけです」 斧崎「解っている。しかし本来市民を守る側の我々が真っ先に地下に籠るとは情けないと思わないか?市民はまだ地上で暮らしているんだぞ」 一谷「あの、隊長。それは……」 柊木「……市民への攻撃は頻度が少ないのが唯一の救いです」 斧崎「……すまない。貴官がそれを認識していない訳がなかったな。謝罪する」 柊木「いえ……しかしそんな日々もこれまでです。何故なら、奴らと対等に渡り合う手段、目には目を、歯には歯を、機巧には機巧を。その機巧が今日ようやく帰ってくるのですから」 斧崎「ああ、米国に貸していたウチの機体が帰ってくるんだよな。これで奴等を潰せるようになる訳だ」 一谷「でも太平洋突っ切れる地下道なんて用意されてないから空輸なんですよね? 大丈夫でしょうか……」 田辺「それは多分大丈夫だ一谷ちゃん。元々ウチにあったものが帰ってくる。つまり」 一谷「それなりの対処をすれば空輸は可能、ということですか?」 田辺「その通り。まあ当初は博打だったんだが……ここから導き出されるのは奴等は有視界で確認しているという事だ。だから機巧を機内に隠し、目に見える所に武装を積まなければ安全って訳だ」 一谷「でも試したの1度だけなんですよね?もし今度駄目だったら……」 斧崎「それでも、我々はやらなきゃならないんだ」 一谷「……」 柊木「部隊長」 斧崎「ああ、すまない。貴官を責めている訳ではないんだ。機巧訓練生で優秀な成績を残した貴官に頼る身だしな。むしろ我々を顎で使っても良いんだぞ?」 一谷「えっ、で、でも隊長。別に訓練生は自分だけじゃありませんし、自分が担当する補助役はサポートに回る役ですし、パイロットとの相性が悪かったら駄目ですしその……一緒に来るというパイロットの方と仲良くできるか心配なんですよぅ」 慌てふためく彼女に対して車内で笑いがこぼれる 斧崎「それだけ配慮が出来ていれば問題はないだろうさ」 柊木「安心して、今日出会うパイロットは貴女と同じ年の女の子よ。
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