第1章

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「おーっ うまいな。君は近くにすんでるのか?」 「はい」  やはりオレだ。 「お父さん好きか」  そう聞くオレに 子どものオレは 「うん、ボク大好き」  と透き通るような笑顔で答えた。 「そうか、これはご褒美だ」  ポケットの個包装のあめ玉を渡す。 「うわーっ これ綺麗。こんなの見たことない。しかも 一つ一つ袋に入っている。凄い!」  そりゃそうだ。四十年も未来の あめだもの。  周りの子どもたちも 不思議そうに見つめている。 「おじさん ありがとう。じゃあこれあげる」  子どもの頃のオレは 画板にはさんであった 真っ赤な紅葉の葉っぱをくれた。  オレはそれを丁寧にポケットに入れた。  
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