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あははと可愛い顔を崩し、豪快に笑う女の子に思わず面食らう。
いや、それでも可愛い顔なのには違いないけれど。
って、そうじゃなくて。
「あ、あの?」
あたしの何がそこまで彼女を笑わせるのか全く理解できず、思わず右手を前に出し浮遊させた。
そしていきなりその手をガシッと力強く握られ、女の子は口を開く。
「あたしと友達になってくれませんか?」
「え」
懇願するような眼差しをヒシヒシと感じ、あたしは一瞬たじろいだ。
え、な、何で?
あたし何でこんな可愛い子に握手されて、友達勧誘されてるの?
ダメじゃないけどまだ初対面だし……
あっ!もしかしてこれって新手の詐欺だったり?
可愛い女の子にせがまれ、段々と何かを要求されて
しまいには……
「ダメ、ですか?」
頭がすでにパンク寸前になったあたしの瞳に映ったのは、眉を下げチワワのごとく目を潤ませる女の子。
ぎゃっ
このままじゃ、あたしが悪者みたいだ……!
「なります、なります!」
可愛い女の子の涙に弱いのは性別は関係ないことを、あたしは身を持って知った。
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