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「はぁぁぁーぁああ」
あたしは机に突っ伏しながら、体中にある酸素を思いっきりはき出した。
「愛梨?どうしたの?」
休み時間、隣の席に来ていたサキに突っ込まれ、あたしは頬を机につけたまま顔だけ横に向けた。
「だってー……雨ふってるんだもーん」
雨が降り続けること、早3日。
梅雨が終わっているのにこうも雨が続くと、気が滅入ってしまう。
キラキラ眩しい太陽、澄み切った青空。
1日見えないだけであたしのモチベーションは、一気に下降してしまう。
尖らせた口がなかなか治らないあたしを見て、サキはフフッとニンマリ笑った。
「まあまあ、来週から夏休みなんだから元気出さなきゃ!」
「……っは!そうだった!!」
“夏休み”
そのワードを耳にしたあたしは机から顔を離し、ピッとその場で立ち上がった。
……そっか!
もう夏休みなんだ!!
夏休みほど青春できる行事はないよね!!
「わ、どうしよ。
一気にテンション上がっちゃった!!」
「あはは、愛梨は単純だね」
「ありがとっ」
「いや、ほめてはないんだけど……」
呆れ顔を浮かべるサキには気付くことなく、あたしの脳内はすでに夏休みの計画を立て始め、ワクワクしていた。
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