76人が本棚に入れています
本棚に追加
/83ページ
お祭りでしょ、プールでしょ、川でしょ……あとは……
行事を思い浮かべながら指を一つずつ折っている時、サキが下から覗き込んできて目が合った。
「でも夏休み長いから、如月君に会えないのは寂しいね?」
「はっ……!!」
そうだった……!
休み中は、蒼に会えないんだ。
その現実を理解すると膨れ上がり盛り上がった気持ちは、ジェットコースターを下る時のように急下降して萎んでしまった。
あからさまにシュンとするあたしを見て、サキは「あ」と言葉を漏らす。
「夏休み初日、前言ってた試合あるよ。
来るでしょ?」
サキの言葉が女神様の囁きに聞こえた。
自分の瞳がキラキラと輝くのが分かる。
「うんっ!行く!!」
蒼に会いたい。
1日でも、一目でも多く会いたい。
急速にあたしの体中に蒼の色が広がり、満たし始める。
「ごめんサキっ。
あたしちょっと行ってくる!!」
「行ってらっしゃーい」
蒼を思い出したら、今すぐ会いたくなった。
その気持ちがあたしにアクセルをかける。
教室の開けっ放しのドアを潜り抜け、いつものように足を大きく踏み出した。
最初のコメントを投稿しよう!