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蒼のクラスは3つ隣。
たったそれだけの距離なのに、偶然会うのが難しい。
同じクラスならいいのにな。
あ、でも同じ空間にいるって毎日ドキドキするよね。
そしたらあたしの心臓もたないなぁ。
足を動かしながらも頭の中では蒼のことを考えていると、「桃井っ」とどこかからか名前を呼ばれた。
「こら、廊下を走るな」
あたしに声をかけたのは加齢臭を気にする40代の担任だった。
「はーい」
あたしは返事を潔くして、その場をそそくさと立ち去ろうとする。
早くしなきゃ休み時間おわっちゃう。
蒼に会いたい一心のあたしは先生に頭を下げて、踵を返そうとした。
けれど
ガシッと手を捕まれてしまい、その場から足を動かそうとしても進めなくなる。
「ちょっ!先生セクハラ!」
「なっ!?セクハラするならお前を選ばんわ!」
「!?先生何気にひどい!!」
涙目になりながら見上げると、先生はあたしの手を離しながら頭を抱え大きく息をはいた。
「桃井、お前夏休み補習だからな」
「え……えぇっ!?」
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