光の届く先

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「え……っ」 えぇぇぇぇっ!? 蒼が?あたしに? 数学を教えて、くれるの……!? それってつまり…… 蒼と2人っきりになれるって、事!? 「いい……の?」 嬉しさのあまり口がにやけてしまいそうになるけれど、必死で口に力を入れて現状を維持しながら控えめに尋ねる。 蒼はキョトンとした表情を一瞬浮かべ、すぐにまたニカッと歯を浮かせた。 「いいから言ってるんだよ。  少しでも補習短くしような」 そう返事が聞こえたのと同時に、キーンコーンと予鈴の音が被った。 「あ、やべ。俺次体育だ!詳しいことまた決めよ。 じゃあ、またな」 「あっ……!」 蒼は風のようにスルリと掴めないまま、あたしの前から姿を消した。 何も返事が出来ぬまま。 開いた口と前に伸ばした右手も、そのまま。 ……これ現実? 本当に? 蒼があたしに、勉強を教えてくれる……! あたしは声にならない叫びを心の中で絶叫し、廊下を全速力で駆け抜けた。
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