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「えっ、本当!?」
「うんっ」
あたしは嬉しさから、放課後のチャイムが鳴った瞬間にサキに駆け寄り、蒼との事を話した。
興奮気味に話すと、サキは目を輝かせる。
「すごいじゃん!
どういう成り行きで?」
「……う」
同然のごとく尋ねられあたしは蒼との流れを思い出して、顔がボボボと熱くなった。
浮かれてたけれど、赤点とったこと蒼にバレちゃったんだ……!
「じ、実は数学で赤点とっちゃって。
夏休みに補習受けるって話を廊下で担任としてたら、偶然蒼に聞かれちゃって」
伏せ目がちに話していて益々恥ずかしくなり、語尾は空気がさらっていってしまった。
今思い出しても、本当に有り得ないよね。
部活やってる蒼より点数悪いなんて、努力不足すぎる。
頭の中で猛反省をしていると鼻をギュッと摘まれ、驚いたあたしは目を見開いた。
「そのおかげで蒼とデート出来るんだから、良かったじゃん!
次からは頑張って、今はプラスに考えよう?」
サキが太陽みたいにキラキラ笑うから、羞恥心や不安感が一気に吹き飛んでいった。
「……そうだよね!
うんっ、頑張るっ」
真夏の青空の下、蒼と一緒にいられるなんて奇跡すぎるほどの幸運。
楽しみだった夏休みが嫌になり
嫌になった夏休みが楽しみになった。
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