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晩御飯もお風呂も済ましたあたしは、蒸し暑い自室に籠る。
いつものようにベッドに転がり雑誌を広げるのではなく、数学のテキストを取り出し机の上に広げた。
こんな所お母さんに見られたら、きっと熱を疑われるんだろうな。
想像すると可笑しくなりフフと口元を緩めながら、シャーペンを握った。
蒼に教えて貰う前に、1つでも多く公式を身に付けておきたい。
赤点を取るくらいだから出来ないって思われているんだろうけど、少しでも良く見られたいんだ。
自分では出せないパワーを引き出してくれる。
恋の力ってすごい。
滑らせていたシャーペンを、ふと、止める。
……そういえば。
蒼の連絡先、知らない。
未だにまだタイミングが分からなくて聞けてないんだ。
いつも真っ直ぐ突進していくあたしだけど、さすがに連絡先は簡単じゃなくて。
“詳しいことまた決めよ”って言ってたけど、もうすぐ夏休みに入っちゃうし。
明日、蒼の所に行ってみよう。
蒼に会える口実が出来て嬉しくなり、より一層やる気が出て問題を説く糧になった。
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