虹の行く先

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「そうそう。 もうすぐ試合近いんだ、気合い入れなきゃでさ」 「そっか! 頑張って、応援してる」 「サンキュー」 そこで蒼は友達に呼ばれ、早足で階段を駆け上がって行った。 後ろ姿で微かに手を、左右に振りながら。 あたしはそれに視線を捕らわれ、きゅうっと胸が心地良く締め付けられた。 誰もいなくなった空間に息を大きくはく。 「……スキだよ」 呟くように、囁くように。 夏の風にそっと乗せて。 あなたへの気持ちを口にした。 「あ、いけない、急がなくちゃ」 あたしは落ち掛けていたカバンを持ち直し、再度階段を駆け下りる。
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