76人が本棚に入れています
本棚に追加
/83ページ
「そうそう。
もうすぐ試合近いんだ、気合い入れなきゃでさ」
「そっか!
頑張って、応援してる」
「サンキュー」
そこで蒼は友達に呼ばれ、早足で階段を駆け上がって行った。
後ろ姿で微かに手を、左右に振りながら。
あたしはそれに視線を捕らわれ、きゅうっと胸が心地良く締め付けられた。
誰もいなくなった空間に息を大きくはく。
「……スキだよ」
呟くように、囁くように。
夏の風にそっと乗せて。
あなたへの気持ちを口にした。
「あ、いけない、急がなくちゃ」
あたしは落ち掛けていたカバンを持ち直し、再度階段を駆け下りる。
最初のコメントを投稿しよう!