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「さっきね、蒼とすれ違ったの」
可愛いキャラクターのビニールシートに腰を下ろし、ポッキーを口に運びながらサキに先ほどの事を報告する。
あ、溶けてる。
やっぱり夏にチョコはダメだなー。
足を伸ばしながら空を見上げると、うっすら飛行機雲があるのを見つけた。
「良かったね。
試合近いんでしょ?トシキが言ってた」
あたしが差し出すポッキーを受取ながら、サキも空を見上げる。
サキの彼氏のトシキ君も、蒼と同じバスケ部。
たまに横流ししてもらえる情報は、とても貴重。
「みたいだね!
……見に行きたいな」
蒼がコート内を走る姿、見てみたい。
体育館に見学に行きたいけれど、あからさますぎて中々行けないから。
ポツリと漏れたあたしの独り言を、サキは拾ってくれた。
「行こうよ?あたしも行くつもりだから」
「えっ」
「蒼、人気あるよ?」
サキの言葉に、あたしの鼓動が加速する。
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