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「じゃあね、愛梨」
「うんっ!また明日ね」
思いっきり手を上げて左右に振り、トシキ君を待つサキに別れを告げた。
あー、今日も楽しかった。
やっぱり“青春”はいいなー
夕日を視界の隅に映しながら、あたしはいつもの通学路をいつもと変わりなく歩く。
今日は蒼に会えて良かったなー
それに話まで出来たし。
会えないのが普通なだけに、今日みたいな日は本当に特別。
あたしは充実感をホクホクと感じ、頬を緩めていると。
後ろから何やら声が聞こえた。
段々近付いてくる、そう感じて振り向いた時には、視界いっぱいに映る白い固まり。
「きゃ、……っきゃあぁあ」
思わず叫んだあたしの顔には、何かかへばり付いて視界が真っ暗になっていた。
その“何か”が飛び込んできた勢いで、あたしは後ろによろめいてそのままお尻をつき、倒れた。
な、なに!?
何が起こったの?
混乱するあたしの耳元で、ワフワフっと荒い息の音が聞こえる。
「すみませんっ!!」
状況に頭がついていかず手をバタバタとさせるあたしに、焦りを含んだ声色が段々近づいてくるのを、雰囲気で察知した。
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