第１話 未知の領域

未知の領域

ゆっくりと黒い玩具を引き出し、近くに置いてあったティシュペーパーに手を伸ばす。

そしてティッシュペーパーで真っ黒なシリコンを軽く拭き、新たなティッシュペーパーに包んで再びバスケットの中に戻した。

湿潤感を帯びる自分の体も綺麗に拭いてやり、体力の失われた体を癒すために好物のグミキャンディーを頬張る私。

マイページを開き今日の稼働時間を確認すると、“３時間48分”と表示されていた。

あと30分で終電の時間だ。

今日はこれで終わりにしよう。

パソコンデスクの下に設置されている呼び出しブザー。

私は“アルバイト”の終わりを告げるそのブザーを鳴らし、今日の“報酬”を受け取るためにスタッフを呼んだ。