第１話 未知の領域

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気付いたのは、夜勤の航大に代わって月の生活費を振り込みに行った時。

非番だった平日、私は生活費諸々が引き落とされる通帳を持って銀行へ行った。

そしてそのついでに、自分たちが将来のために貯金し続けてきた通帳も記帳しようと考えたのだ。

普段はその通帳を航大が保管している。

だけど私は、良かれと思ってその通帳を無断で拝借したのだ。

暗証番号は付き合った日の日付。

だからキャッシュカードか通帳さえあれば、お互い入出金や残高照会ができる事になっていた。

先日銀行から届いていた一括記帳の通知。

これは長期間通帳が記帳されなかった場合に届くものだから。

その内容を私が確認する前に、航大は通知書類を破棄してしまっていた。

だから私は、この通帳に記載される残高が気になってしまって・・・。