THE CUSTOM, THE HOT FLOW

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○中央公園・出場チーム待機エリア 走ってくる千尋。 モーターを必死で修理する古澤。見守る弘。 千尋「どうなんですか」 答えない古澤。 弘「……ちょっと、難しいかも、です」 辺りを見回す千尋。 座り込み、頭からタオルを被っていうなだれている正明。 正明に近づく千尋。その横に座る。 千尋「……何やってんの」 正明「……うるへー……」 千尋「……あんたってさ、何でメックバトル始めたの」 正明「……俺ってmobキャラでさ」 千尋「は? モ? 何?」 正明「あ、その、なんつーか、主役には絶対なれないって言うか、そういうこと目指したことすらなくて」 千尋「メックバトルなら、主役になれるとでも思ったの?」 正明「どうかな、主役じゃなくてもいい、けど、熱くなりたかったのかな」 千尋「それだけ?」 正明「あのな、いっつもアツアツ必死リア充なお前にはわかんないだろうけどさ」 千尋「は?!」 正明「あ、すんません。いあ、自分のスカスカな隙間を埋めたいって言うか、つかんだことのないもの、つかみたいって言うか」 千尋「……」 正明「ま、もう無理だけどさ」 千尋「モーター何とかなったら、それ、つかめるの?」 正明「つかむ。絶対に、つかむ、つもり、だったけど……無理だぁ」 再びうなだれる正明。がっくりと地面を見ている。 修也が歩いてくる。その手にはP-8Szモーター。 修也、黙って千尋にモーターを渡す。 座ったまま受け取る千尋。 黙って片手を振って去って行く修也。 千尋、正明に向き直る。 千尋「つかんで見せてよ」 少し顔を上げる正明。 目の前に突き出されるP-8Szモーター。 正明「え? ええええっ?!」 正明、ぴょんっと正座して千尋に向き直る。 千尋「ミタスティングレイと私の心臓! 使って、そのわけわかんないものつかんで見せてよ!」 正明「い、いいのか?」 千尋「早く。間に合わなくなる」 正明「あ、ありがとう! あ、お礼ついでに言うとさ、ぱんつ見えてるぞ」 千尋、慌ててキュロットの裾をつかみ、真っ赤になって正明をぶん殴る。
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