第1章

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「もう、男の子って……こんなに汚して」 息子が脱ぎ散らかした服を集め、つけ置き洗いをする。それが日課となっていた。 沙奈子はぼやきながら掃除機を取り出す。 これほど男の子が砂を持ち込むとは意外だった。特に小学生になってからは、よくぞこれ程……というくらい。 擦り傷、どろんこ当たり前。 最近では上級生とも遊んでいるので遊び方が変わってきたのかもしれない。 沙奈子自身は男兄弟が居ないので、面食らってしまう。 「あーあ、靴も砂だらけ。 ランドセルも置きっぱなし……翔!」 片付けなさい、と小言を言おうとした。 でも傾けたランドセルから落ちる砂を見て思考が止まった。 嫌な予想は胸をじわじわと染めていく。 「ママ、オヤツはー?」 「あ、今日はおばあちゃんからクッキーを貰ってるんだよ。翔と一緒に食べようと思ってママ我慢してたんだ」 努めて明るい声を出した。
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