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一週間ほど後、翔と公園で遊んでいた。翔が安田先生を連れてきた。
そのあと、翔は友達とタコ形遊具の方へ行った。
とても気まずい。
「気にしないで下さい。
高校生の時には話したこともない。知らなくて当然」
安田先生は、穏やかに笑った。
「でも、似た人は覚えてるかもしれないんです。」
彼は遠くを見て呟いた。
「□□高校生で、メガネでテニス部」
「その人は覚えてるかも」
少し、胸が高鳴った。
子供達の声がひっきりなしに聞こえる。
一陣の風が吹き抜けた。
「……とでも言うと思った?」
振り返った彼からは笑みが消えていた。
「似てるだろ。似せたんだから。アンタが見ていた奴に。
思い出さないのかよ。
安、田、正、太」
砂時計を差し出した。
背筋を冷たいものが伝った。
「正太くん、安田……」
「そうだよ、塾で一緒だった。
『あの後』俺は学校でイジメを受けた。中学校では一時期不登校。
ところが、高校は皆勤賞だ。何故だかわかるか?」
わかるわけない。
何を言われるのか恐ろしくて仕方がない。
「あんたを見つけたからだよ。
ケイコがストーカーだと俺を罵ったけど、そんなの恥のうちに入らない。
嘘をついたあんたがどうなったのかただの興味しかない。」
「ごめんなさい、あの時は、」
公園の近くの踏切が鳴っている。神経に直に警告するように。
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